山下勢山系の特徴について
ページを作成以来、多くの方々からご質問をいただきました、山下勢山系の特徴について、ご説明いたします。
山下勢山系は、故山下鉄夫氏が、故細川英次郎氏から導入された細川勢山系を、独自の
戻し交配と異血交配、そして厳しい淘汰を繰り返し、山下氏が理想とされた形質と能力に改良
された血統です。
いわゆる純血閉鎖交配による血統保存とは違いますので、勢山系の血は色濃く引いており、
良い特徴は受け継いでいますが、性能的には近代レースに対応出来る、昔の勢山系とは別と
も言える血統です。あくまで、レースでの成績と、見た目を重視されて改良をされました。
羽色は灰が基本です。山下勢山は、細川英二郎氏の細川勢山系の800149号(郵政大臣
杯600K西日本総合優勝)の直仔である勢山S3号という♀鳩を源鳩とし、イギリスのアンダー
ソン系(ドーバー海峡を渡ってバルセロナから帰る超長距離系統)をかけて作ったのが、代表
鳩のブライトスター号(よみうりランド600キロ全国優勝)です。
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(茨木エンゼルロフト血統書より転載)
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(茨木エンゼルロフト血統書より転載)
勢山は灰というイメージが強いのは、細川氏が、土鳩とレース鳩で実際に活躍したレース鳩の羽色を統計処理したところ、土鳩では胡麻の割合が高く、優秀なレース鳩では灰が多いという結果に基づき、羽色を灰に固定するように志向された結果に基づくものです。 アンダーソンは、栗やシルバーが多い血統ですが、ブライトスターを作出するにあたっては、一度勢山系とかけて、灰の♀鳩を作ってからS3号の仔とかけ合わせています。あくまで灰にこだわった結果です。 山下氏の飼育系統に、シオンがいました。キングオブフランス号の近親で、これも栗が多い血統ですが、山下氏はこれも灰色に変える努力を続けられました。私のプロミス号の筋にもシオンが入っています。もともとは、スピードに溢れた血統ですが、山下氏のシオンは、オペルやゴードンのような遅いが必ず帰ってくる鳥となっていました。シオンの鳥は意外に多く飼育しておられましたが、栗色の鳥は一羽もいませんでした。稚内キング、稚内2号など、1300kレースでの山下氏の成功は、シオン系によるものです。
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写真の鳩達は、シオン系または、シオン系を異血として作られた鳩達です。
(茨木エンゼルロフト血統書より転載)
山下勢山系の最大の特徴は、手羽と肉質にあります。手羽は、ジャックナイフ型を基本とし、8、9、10枚目はカーブを描いています。また羽の先端の羽軸が消えていることも改良の跡で、しなやかで折れにくい手羽を志向されました。
肉質は、一度ついたら落ち難い、硬めの肉質です。私には、反面、落ちてしまうと、もどり難い面もあるように思っています。 上の写真のシオン系の入った鳩達と今西系の入ったゴールドクイン号(よみうりランド800キ
ロ全国優勝)は肉質が柔らかいので、山下氏は肉質の調整に使っておられました。もともと細
川勢山は、中距離バードだったのですが、異血を入れることにより、1000kレースを目標に改
良されたものです。その肉質の為か、生前から麦を使うことには反対され、そら豆と麻の実を
使っておられました。
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